キャリア

アクチュアリーを目指す前に知っておきたい「5つの現実」

はじめに

アクチュアリーという職業に対する注目度は年々高まり、「理系最難関資格」とも言われるその希少性から、憧れを抱く就活生も増えています。
アクチュアリーには高年収や理系的素養を活かせるなどの魅力やメリットがありますが、今回は少し視点を変え、「アクチュアリーという道のリアルな側面」について、正会員監修のもとお話しします。

就職活動中の皆さまにとって、自分のキャリア選択をより現実的に考える材料になれば幸いです。


1.資格取得が極めて困難

アクチュアリーの最大のハードルは、なんといってもその試験制度の厳しさです。一次試験5科目・二次試験2科目の計7科目に合格する必要があり、平均的な合格年数は8年と日本アクチュアリー会のホームページに記載されています。

合格に必要な学習時間は、一次試験1科目あたり約300時間、二次試験では約500時間と言われており、しかも、受験者の大半はフルタイムの社会人です。
そのため、試験勉強と仕事の両立をする必要があり、並々ならぬ覚悟が求められます。

場合・時期によっては、昼間は9時間働いて、朝と夜で合計3時間以上勉強するなど、遊びやプライベートの時間をほぼ犠牲にして取り組む必要があります。

現実には、入社時には正会員を目指していた人でも途中で挫折する人が一定数おり、「正会員になるまで努力を継続する覚悟」があるかが問われます。


2.労働時間が長くなりやすい

アクチュアリーの業務は、高度な責任とプレッシャーを伴います。特に、決算期やプロジェクトのピーク時には長時間労働になることも珍しくありません。

もちろん会社や部署による差はありますが、金融業界という性質上、業務量が多くなりやすい傾向には注意が必要です。

ただし、試験合格後は転職や社内異動によって働き方を見直すことも可能です。
ワークライフバランスを整えたいなら、「まず試験に受かって転職する」のが王道パターンです。


3.知名度が低い職業

アクチュアリーという職業は、保険業界の中では重要なポジションに位置づけられているものの、一般社会での知名度は非常に低いです。

したがって、SNS映えするような職業に就きたい、職業名でチヤホヤされたいという人には不向きかもしれません。
しかし、実務の現場では経営層との距離も近く、社内では専門性の高さが評価される立場であることは事実です。


4.勉強し続ける覚悟が必要

アクチュアリーは「正会員になったら終わり」ではありません。むしろ、そこからがスタートです。

保険業界は変化のスピードが早く、近年ではデータサイエンス、ERM、英語など、習得すべき分野も広がっています。これらをキャッチアップしなければ、専門家としての価値は下がってしまいます。

「一生、学び続ける職業」としての覚悟をもって、アクチュアリーを目指してほしいです。


5.収入に限界がある場合も

アクチュアリー正会員となれば、年収1,000万円は確実に狙えます。さらに、キャリアを積めば1,500万円〜2,000万円も見えてきます。

ただし、いわゆる「若くして1億円」「20代でFIRE(早期リタイア)」を目指すには不向きです。
また、独立開業が難しい職種でもあり、会社員として働く以上、節税の自由度も限定的です。

「堅実で高収入だが、大きな一発逆転は狙いにくい」──これがアクチュアリーの給与構造の特徴です。


おわりに

アクチュアリーという職業は、確かに年収や専門性といった面では魅力的です。
しかし一方で、取得難易度の高さや継続的な学習負担、多忙な業務、知名度の低さなど、冷静に考えるべき課題も存在します。

「自分はなぜアクチュアリーを目指すのか?」
「どんな働き方・生き方をしたいのか?」

こうした問いに真剣に向き合ったうえで、進路を選ぶことをおすすめします。

アクチュアリー就活塾では、みなさまの進路選択を支援できるよう、今後もさまざまな情報を発信してまいります。
一緒に、納得のいくキャリアを築いていきましょう!

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