こんにちは。アクチュアリー就活塾で運営メンバーを務めている27卒内定者です。
アクチュアリー職を目指して就職活動を進めていると、説明会や面接などで「アクチュアリー試験」という言葉をよく耳にします。
アクチュアリー試験は、実際にはアクチュアリーとして働くうえで必要となる知識を、基礎から実務まで段階的に学ぶための試験です。
また、2027年度からは、第1次試験の科目構成や研修制度が大きく変更されます。これからアクチュアリー職を目指す学生にとっては、現在の制度だけでなく、新しい制度についても理解しておくことが重要です。
今回は、アクチュアリー試験の基本的な仕組みと、2027年度からの主な変更点を就活生向けに分かりやすく解説します。
アクチュアリー試験とは
アクチュアリー試験は、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する資格試験です。
アクチュアリーに必要な専門知識や問題解決能力を有しているかを判定することを目的としており、年1回、原則として12月に実施されます。2026年度試験は、12月7日から10日までの4日間にわたって実施される予定です。
試験は、「第1次試験」と「第2次試験」の2段階に分かれています。
第1次試験では、アクチュアリーとして学習を進めるための基礎的な知識が問われます。一方、第2次試験では、実務上必要となる専門知識に加えて、問題解決能力や専門職としての見識も問われます。
現在、日本で一般に「アクチュアリー」と呼ばれる正会員になるには、試験の全科目に合格し、所定の研修を修了する必要があります。多くの人は、保険会社や信託銀行などで働きながら試験勉強を続け、数年かけて資格取得を目指します。
したがって、就職活動を始める時点で全科目に合格している必要はありません。
ただし、学生のうちに第1次試験の科目に合格していると、数理的な基礎力や志望度、継続して学習する姿勢を示す材料になります。合格していない場合でも、試験科目や仕事内容を理解し、勉強を始めていることは十分アピールにつながります。
また、企業によっては、アクチュアリー試験の科目合格者を対象に、選考過程で実施される数理試験の一部または全部を免除している場合があります。
2026年度までの試験制度
2026年度までの第1次試験は、次の5科目で構成されています。
・数学
・生保数理
・損保数理
・年金数理
・会計・経済・投資理論
受験者は、5科目すべてを同じ年に受験する必要はありません。例えば、大学3年生で数学に合格し、翌年に生保数理や損保数理を受験するなど、自分の学習状況に合わせて科目を選択できます。
第1次試験はすべて多肢選択式で、出題範囲は日本アクチュアリー会が指定する教科書に限定されています。第1次試験の5科目すべてに合格すると、第2次試験の受験資格を得るための試験要件を満たします。
第2次試験では、次の3つのコースから1つを選択します。
・生保コース:生保1、生保2
・損保コース:損保1、損保2
・年金コース:年金1、年金2
第2次試験では、教科書や参考書に基づく専門知識だけでなく、アクチュアリーの役割や時事問題に関する論述も出題されます。単に公式を暗記するだけではなく、実務上の課題に対して、自分の考えを筋道立てて説明する力が必要です。
2027年度から試験制度が変わる
日本アクチュアリー会は、2027年度以降の資格試験・研修制度を見直すことを公表しています。
現在の試験体系となってから約25年が経過し、アクチュアリーに求められる知識や技能が高度化・多様化したことが、見直しの背景にあります。
2027年度以降も第1次試験は5科目ですが、科目構成は次のように変わります。
・数学
・専門数理1
・専門数理2
・会計・経済・金融システム
・リスクマネジメント・投資理論
各科目の試験時間は150分となる予定です。
新しい「数学」は、確率・統計を中心とする科目になります。現在の数学に含まれているモデリング分野は、「専門数理2」に移されます。
「専門数理1」には、現在の生保数理と年金数理の内容が組み込まれます。生命表や現価計算など、生保数理と年金数理に共通する考え方を一つの科目で学ぶ形になります。
「専門数理2」には、現在の損保数理と、数学科目に含まれているモデリングの内容が組み込まれます。
また、現在の「会計・経済・投資理論」は、2科目に分かれます。
「会計・経済・金融システム」では、会計・経済に加えて、これまで研修で扱われていた金融システムの内容が試験に取り込まれます。
「リスクマネジメント・投資理論」では、投資理論に加えて、アクチュアリアル・リスクマネジメントの内容が扱われます。
今回の変更からは、今後のアクチュアリーに、保険数理の計算力だけでなく、金融市場や企業全体のリスクを理解する力も求められていることが分かります。
研修制度も変更される
2027年度以降は、試験科目だけでなく、準会員や正会員になるための研修制度も変わります。
新制度では、第1次試験の全5科目に合格するだけでなく、第1次プロフェッショナリズム研修などを修了することが準会員の要件になります。
正会員になるためには、第2次試験に加えて、第2次プロフェッショナリズム研修と「データとシステム研修」を修了する必要があります。
つまり、新制度では、試験で数理的な知識を確認するだけでなく、職業倫理、コミュニケーション、データやシステムに関する能力も重視されます。
アクチュアリーは、計算結果を出すだけの仕事ではありません。その結果を経営層や他部門に説明し、専門家として適切な判断をすることが求められます。今回の制度変更は、こうした実務上の役割をより強く意識したものと考えられます。
すでに合格した科目はどうなるのか
制度変更後も、2026年度以前に合格した科目がすべて無効になるわけではありません。
現在の「数学」に合格している場合は、新制度の「数学」に合格したものとみなされます。
「生保数理」と「年金数理」の両方に合格していれば、「専門数理1」に合格したものとみなされます。ただし、どちらか一方だけに合格している場合、2026年度までにもう一方に合格しなければ、2027年度以降に専門数理1を受験する必要があります。
「損保数理」に合格している場合は、「専門数理2」に合格したものとみなされます。
また、「会計・経済・投資理論」に合格している人は、2027年9月までに所定の「特定分野2研修」を修了することで、新制度の「会計・経済・金融システム」と「リスクマネジメント・投資理論」の両方に合格したものとみなされます。期限までに研修を修了しない場合は、原則として2028年度以降に新しい2科目を受験する必要があります。
筆者の場合、生保数理は合格済みですが年金数理は合格していないので今年度の試験で年金数理に合格しなければ、再度生保数理を勉強しなくてはなりません。。。
就活生は何を意識すればよいのか
これから初めてアクチュアリー試験を受験する学生は、制度変更だけを見て焦る必要はありません。
まずは、日本アクチュアリー会が公表する最新の試験要領を確認し、自分が受験する年度の科目や試験範囲を正しく把握することが大切です。
また、就職活動では、試験に何科目合格しているかだけでなく、なぜアクチュアリーを目指しているのか、入社後も勉強を継続できるかが重要になります。
試験勉強を通して、確率・統計や保険数理が実際の業務でどのように使われるのかまで考えられると、志望動機や面接での回答にも深みが出ます。
2027年度から試験制度は変わりますが、アクチュアリーに必要な数理的思考力と継続的に学ぶ姿勢の重要性は変わりません。制度変更を単なる科目名の変更として捉えるのではなく、アクチュアリーに求められる役割が広がっていることの表れとして理解しておきましょう。
参考文献・出典
公益社団法人日本アクチュアリー会「2026年度 資格試験要領」
公益社団法人日本アクチュアリー会「資格試験・研修制度の見直しについて」(2026年4月1日公表、2026年4月27日更新)
※本記事は、上記の日本アクチュアリー会公表資料を参考に、就活生向けに独自に要約・解説したものです。受験年度によって日程、試験範囲、研修要件などが変更される可能性があるため、実際に受験する際は日本アクチュアリー会が公表する最新情報をご確認ください。
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